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NDソフトウェア株式会社
「介護予防の主役は国から地域へその仕組みをささえるインフラを提供」
2000年から導入された介護保険制度は、2005年に一回目の見直しを迎えた。ここで明らかになったのが、厚生労働省の予想以上のスピードで進行する高齢化と介護給付支出の増大だ。「介護を手厚くするよりは、要支援・要介護状態にならないようにまず予防する」ことで、支出の増大を食い止めることを急務として、2006年4月に介護保険制度が改正された。既に介護・福祉業務支援ソフトウェア「ほのぼの」シリーズで定評のあるNDソフトウェアでは、早速この新制度に対応して、介護予防ケアマネジメントの核となる「地域包括支援センター」向けの業務ソフトウェアをリリースした。
●「予防重視」を目的の一つとした介護保険制度改訂
2006年4月から施行されている新制度の中心となるのは、市町村が設置運営する地域包括支援センターである。地域包括支援センターの役割は、今まで国主導で実施されてきたさまざまな介護施策を市町村主導に移管し、「介護予防」の観点から、保健師、主任ケアマネジャー、社会福祉士の三者のチームアプローチを通じて、被保険者を含む高齢者に必要なサービスが切れ目なく提供される体制を支えることだ。保健師が介護予防ケアマネジメントの具体的な作業を担う一方、主任ケアマネジャーは支援困難事例への指導・助言を行いながら、医師やケアマネジャーと連携した継続的なマネジメントの支援、そして社会福祉士は高齢者や家族に対する総合的な支援を行うと共に被保険者への虐待防止など権利擁護を担当する。地域包括支援センターの事業には二本の柱がある。一つ目は、新予防給付のマネジメントとしての「介護予防支援事業」である。従来、介護保険では、要支援・要介護認定(1.5)を受けた対象者に対し、その程度に応じた給付を行っていたが、新制度では要支援、要介護1の区分を見直し、軽度者にあたる要支援1と要支援2認定者に分けて「新予防給付」を行う。具体的には、転倒防止のための筋力トレーニング、栄養指導、口腔ケアなど、生活機能改善に有用と認められたサービスの利用効果を定期的にチェックし、状態の維持・改善の評価を行う。もう一つの柱は、「地域支援事業」である。こちらは介護保険の新予防給付の対象にはならないが、要支援・要介護状態になるおそれの高い方に対し、種々の介護予防事業を市町村が主体となって独自に行うものである。「地域の老人の面倒は住み慣れた地域で見るという考え方で、高齢者が活力ある生活を継続できるよう、包括的なケアマネジメントを実施するという点がポイントです」と、NDソフトウェア株式会社 取締役営業部長の平繁美氏は解説する
●地域の居宅介護支援事業者などとの連携が重要に
新制度のもとで予防給付の対象となる被保険者の数は、全国で約130万人と推測されている。これだけの対象者に対するケアプランの作成は、地域包括支援センターだけではとても賄いきれない。そのため新制度では、地域の民間居宅介護支援事業所を委託先事業者として、ケアプランの作成等を委託することができるように定めている。すでに地域で事業を営んでいる居宅介護支援事業所では多くのケアマネジャーが働いており、このマンパワーを活用する考え方だ。また、通い、泊まり、訪問の3形態のサービスを一つの施設で提供できる介護予防小規模多機能型居宅介護事業など、地域密着型介護予防サービスとして今回新たに加わった15種類の介護予防サービスについて、地域包括支援センターは提供された新予防給付の実績と予定との対比を行う必要があり、サービス提供事業者側との効率的な情報連携が求められる。現状のケアマネジャーとサービス提供事業者との関わりと似てくるのだ。介護予防通所介護・通所リハビリテーションにおいては、事業者が作成した2次アセスメントの評価も地域包括支援センターの重要な役割だ。現状維持や改善の効果が出ているのかという点まで含めて評価し、次年度報酬の加算の可否を決める。「介護予防にかけられる費用は青天井ではありませんし、費用さえかければ良い結果が出るわけでもない。例えば、がんばれば自分で歩ける人に親切で車椅子を使えるように給付した結果、車椅子に頼って歩けなくなるといった、悪循環を招くケースもあります。地域包括支援センターとは、介護予防という観点から地域包括ケアの中核機関であると同時に、最良の結果を出すための地域の介護予防サービス提供事業者の指導者的存在でもあるのです」(平氏)。さまざまな形態でサービスが提供される新予防給付事業だが、それぞれを効果的に組み合わせることで要介護状態になりにくくし、元気なお年寄りを増やすことが目的なのだ。
●事業者支援システム「ほのぼの」のインターフェイスをそのままWeb化
このように、地域包括支援センターの業務を進めるためには、地域の介護予防サービス提供事業者と緊密な協力が必要だ。特に、一連の介護予防ケアプランの作成と運用にあたっては、離れた複数の委託先事業者との間で情報共有が必要になる。この課題を解決するのがNDソフトウェアの「ほのぼの」シリーズ地域包括支援センターシステムだ。その大きな特徴は、すでに介護・福祉業務支援ソフトとして定評のある「ほのぼの」シリーズのユーザインターフェイスをほぼそのままにWeb化している点だ。委託先となりうる居宅介護支援事業所は全国で約3万2千ヶ所、「ほのぼの」シリーズは既に7000の施設・事業者への導入実績がある。地域包括支援センターからの委託業務を、日常使っているケアマネジメント支援ソフトと同じ入力画面で行えることは、操作性を損なわないという点で委託先事業所のケアマネジャーにとって大きなメリットだ。同社が地域包括支援センターシステムの開発に活用したのが、PowerBuilderで開発されたクライアント/サーバ型アプリケーションをWebアプリケーションに移行する、Appeon社の「Appeon for PowerBuilder 3.1」だ。「対象者台帳などの個人情報と、各対象者のケアプラン情報などについては、地域包括支援センターでデータを一元管理しなくてはいけません。また、多数の委託先事業者による入力が集中した場合、画面速度が遅いものは受け付けられません。こういった運用形態を考えると、地域包括支援センターシステムではWeb化は必須の要件でした」(平氏)。「ほのぼの」シリーズはPowerBuilderで開発されていたので、AppeonforPowerBuilderを利用することで、短期間での対応が可能となった。
●将来の法改正見据え障害者自立支援法対応システムも
「ほのぼの」シリーズ地域包括支援センターシステムは、すべてNDソフトウェアの販売代理店経由で提供されている。パラメーター設定によりカスタマイズ不要で利用できる設計は従来の「ほのぼの」シリーズと共通だが、今回のシステムでは、既存の自治体内の情報システムからの一部情報取り込みやデータ連携が必要になるケースがある。「対象者台帳に住民基本台帳のデータを利用できるかどうかなどは条例によって扱いが違います。メーカーが全てに対応することは難しいので、必要な場合は信頼できる販売パートナー様に対応をお願いしています」(平氏)。トラブル対応もまずは販売パートナー側で行うが、パッケージに原因があることが判明した際にはNDソフトウェアで対応する。修正点や改良点は、バージョンアップの形で全てのユーザーにフィードバックしていく方針は、従来の「ほのぼの」と変わらない。NDソフトウェアでは、現在、この10月から本格的に実施予定されている障害者自立支援法に基づいた業務支援ソフトウェア「いきいきLife」のリリースに向けて開発に取り組んでいる。「介護保険と自立支援は現在は別々の制度ですが、実態としては介護と同一の社会福祉法人や介護サービス提供事業者が受け皿になっていることが少なくないのです。また、法制度自体も、数年後には統合される可能性もないとはいえません。そうしたダイナミックな法改正にも対応できるよう情報共有をさらに推し進め、基幹業務に至るまで他社が真似のできないトータルシステムの開発を進めていきたいと考えています」(平氏)。2000年の介護保険制度施行時には、これからの成長市場とみた多くのソフトウェアベンダーが介護系ソフトウェア市場に参入した。しかし6年が経過した今、ベンダーの数は大幅に減っているという。「年度ごとに制度が改訂されるため、短期間で対応できないベンダーは淘汰されてしまいます」(平氏)。このような厳しい市場で、生き残るだけでなくシェアを拡大し続けているNDソフトウェアは、まさに介護・福祉系ソフトウェア業界のリーディングカンパニーだ。
NDソフトウェア株式会社
〒992-0474 山形県南陽市漆山1306-7
TEL.0238-47-6700(代)
http://www.ndsoft.jp
「介護・福祉」の分野に特化したトータルシステムメーカー。主力商品であるパッケージソフトウェア「ほのぼの」シリーズは、使いやすさと豊富な機能を兼ね備えユーザーサポートの良さでも定評があり、全国7,000以上の施設・事業者等で導入されている。2006年2月、ジャスダック証券取引所に上場を果たした。