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株式会社サッポロドラッグストアー (株式会社ICSパートナーズ)

「急成長を支えるのは規模の拡大に柔軟に対応できる財務会計システム」

 2006年 WEDGE10月号掲載

企業の意思決定の迅速さが求められ、また日本版SOX法の施行を控えて内部統制の実現と財務会計の透明性が求められる中、財務会計パッケージの重要性が増している。特に急成長を遂げる企業では、システムにも頻繁に発生する組織変更に迅速に対応できる柔軟性が求められる。今回紹介するサッポロドラッグストアーは、北海道内に年間10店舗以上の新規出店を続けている。無理に画一化せず、地元密着の個性ある店づくりを進めていくためには、バックヤードに磐石な会計システムのサポートが欠かせない。サッポロドラッグストアーが会計システムのパートナーとして選んだのは、ICSパートナーズだった。

地域に合わせた店づくりで成長を続ける

サッポロドラッグストアーは、北海道全域に100店舗以上を展開するドラッグストアチェーンだ。1972年、スーパーマーケット内に1号店を出店した創業当時のエピソードを、取締役副社長の富山光恵氏はこう語る。「富山(とみやま)薬局では富山の配置薬を連想してしまう。辞書を片手に、考えついたのがドラッグストアという言葉。将来は札幌で一番になりたいという願いを込めて、社名をサッポロドラッグストアーとしました。当時、薬を扱う小売店で、ドラッグストアという名称を使ったのは、おそらく当社が北海道で最初ではないでしょうか。」その後徐々に店舗を増やし、1997年頃から全道展開を目指して出店を加速、現在は年10.15店舗のペースで出店を続けている。現在の年商は299億円、将来500億円を目指すという。サッポロドラッグストアーの特徴は、全店舗直営のチェーンであるにもかかわらず、各店舗が非常に個性的である点だ。チェーン店の場合、店づくりを標準化することは、オペレーションを効率化しコストダウンを図れる反面、地域密着の楽しさやユニークさが出しにくい。「地域特性に合わせ、1店ごとに工夫し進化させるのが基本です。楽しくて飽きない、何度も行きたくなる店づくりが目標です」(富山氏)。場所が変われば客層も違い、当然売れ筋商品も違う。「ヘルシー・ビューティ・セクシー」というコンセプトのもと、店舗ごとのきめ細かい品揃えと店頭づくりが、成長の原動力の一つだ。

急成長に対応できなかった会計システムの刷新

急速な店舗数増加に伴い、既存の会計パッケージに限界が見え始めた。「まず、店舗数が増えることで、システム自体のキャパシティ不足が懸念されました。また、店舗別、部門別、ブロック別といった詳細な管理へのニーズが高まるものの、旧システムでは柔軟な対応が困難でした」(富山氏)。同氏が新しいシステムを模索中に参加したセミナーがきっかけで、ICSパートナーズ(以下ICS)の「OPEN 21 4u」導入に向けたパートナーシップが動き出した。導入決定に至った最大のポイントは柔軟性だ。「科目別管理、部門管理や新規出店に伴う集計区分の変更などに、柔軟に対応できる点を最も評価しました」(富山氏)。従来のシステムでは、組織変更への対応が難しく、現状に合わせた店舗ごとの科目別管理帳票などは、担当者がExcelで個別に作成していた。新システムでは、マスターを見直して組織別・科目別の管理体系を作り直し、組織や集計区分の変更にも柔軟に対応できるようにして、一回の伝票入力で、全社的な管理会計情報だけでなく店舗別、部門別などのさまざまな帳票を出力可能とした。もう一つのポイントは、既存の仕入れ管理システムとデータ連携ができることだ。「パッケージソフトにはそれぞれ得意な分野があり、全てを一つに統合することが良いとは思いません。まずは業務ごとに最良のシステムを選び、データに互換性を持たせて連携することが重要だと考えています」(富山氏)。

再入力は極力避けて効率化し、ミスを減らす

システムの導入を決めたのは1999年12月25日。それからわずか3ヶ月後の2000年4月に、新システムが立ち上がった。「短期間で稼動させるために、あえて全て新規に作り直しました。その時点で最善の仕組みを構築したことが、結果的には正しい判断だったと思います」と富山氏は語る。新システム導入にあたっては、富山とICSの担当者で仕様を決め、ICSで設定調整を行なった。富山氏自身が経理・財務責任者であり、意思決定は非常にスムーズだった。「一回の入力で会計や財務など全ての関連データを出力できるように、入力方法やデータの作り方を考えました。再入力は非効率なだけでなく、エラーの可能性も高くなり、何のメリットもありません」(富山氏)。この新システムのデータを活用して、2003年秋には株式の店頭公開も果たした。必要な書類の準備にも、新システムのデータをフルに活用している。

効率化によりスタッフの専門性を高める施策が可能に

新システムの稼動から6年が過ぎた。「必要に応じた帳票の追加やバージョンアップなど、ICSさんのフォローはとてもきめ細やかで、満足しています」(富山氏)。現在、銀行への支払い伝票を自動発行する支払い管理システムの導入試験中で、順調に行けば秋には本稼動の予定だ。また、これに合わせて、パッケージも新製品の「INPACT OPEN 21 de」にバージョンアップを検討中だ。日本版SOX法にも、ICSのシステムを活用して対応していく方針である。薬事法の改正や改正まちづくり三法成立に伴う出店規制の強化など、ドラッグストアを取り巻く環境は大きく変化しつつある。「24時間営業のコンビニエンスストアで薬を買えるというのは、便利である一方で多くのリスクもあります。私達は、有資格者が正しいカウンセリングと共に薬を提供することで、コンビニの利便性とは違う安心を訴求したいと思っています」(富山氏)。そのために同社では、ヘルスケアアドバイザー、ビューティケアアドバイザー、ベビーケアアドバイザーなどの資格取得のための社内教育に注力している。特にベビーケアアドバイザーについては、育児経験のある女性に積極的に資格取得を勧めることで、子育てに不安を持つ若い母親が安心して相談できる店づくりに取り組んでいる。「システムによって業務を効率化すると、スタッフはもっと大事なことに力を向けられます。お客様に喜んでいただける店づくりのために、やるべきことはたくさんあるのです」(富山氏)。地元密着と専門性を武器に、事業を拡大していくサッポロドラッグストアーを、ICSの会計システムが支えている。

 統合型財務会計システムINPACT OPEN 21 de

I今回登場したサッポロドラッグストアーで現在導入を進めているICSパートナーズの「INPACT OPEN 21 de」は、財務会計の専門家集団が開発した財務会計パッケージとして定評がある、「INPACT OPEN 21 4u」の後継バージョンだ。大きな特徴は、「エクスポーター」や「インポーター」による、基幹系システムや他オープン系システムのデータベースとのマスターレベルでのリアルタイム連動が可能になることだ。これにより、従来の会計システムにはなかった、「会計情報ミドルウェア」としての運用を可能にする。ターミナルサービス対応を強化することで、ローエンドPCによるネットワーク構築にも容易に対応し、さらにTCO削減を可能にした。グループ統一会計まで含む大規模会計システムを意識したアクセス制御やワークフローの機能を充実させ、日本版SOX法で求められるITによる内部統制実現にも対応している。4uでも定評のあった、統合会計システムとしての、伝票入力、部門別、科目別等柔軟な管理会計情報の出力など、基本機能はそのまま継承されている。特に、入力画面については、入力ジェネレーター機能を新たに搭載して柔軟な画面設計を可能とし、エンドユーザーを強力に支援する。また、取引先マスター、セグメントコード、プロジェクトコード等のマスターを科目体系に加え、よりきめ細かな管理が可能になった。プラットフォームとなるデータベースエンジンには、4uから引き続き、アイエニウェアのSQL Anywhere Studioが採用されている。


株式会社サッポロドラッグストアー
〒002-8003
北海道札幌市北区太平三条1丁目2-18
TEL. 011-771-8100(代)
http://www.sapporo-drug.co.jp
1972年札幌市手稲区で創業。「健康で明るい社会の実現に貢献する」を経営理念に、北海道全域にドラッグストア、調剤薬局などを展開する。2004年、ジャスダック証券取引所に株式を上場。「ヘルシー・ビューティ・セクシー」をコンセプトに、道内シェア2位のチェーンとして二極化した北海道のドラッグストア市場の一角を担う。