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日本テクノ・ラボ株式会社

「内部統制強化に向けて従来見逃されていた「印刷物による漏えい」を元から絶つソリューション」

 2008年 WEDGE 5月号掲載

会社法やJ-SOX法で求められる内部統制に対応すべく、情報漏えい防止ソリューションに対する企業の関心とニーズが高まっている。さまざまなベンダーから提供されているソリューションの多くは、ファイルのコピー防止やネットワークを経由した不正アクセスによる情報の流出対策を謳っているが、印刷された「紙」への対応は手薄になっている。「いつ、誰が、何を」印刷したかを内容まで記録し、プリンターからの出力を管理する「紙からの情報漏えい防止」を実現するソリューションが、日本テクノ・ラボ(NTL)の「SPS(セキュリティ・プリント・システム)」だ。

情報漏えいの多くは印刷された紙から発生する

今日の企業では、重要な情報の大半はコンピューター上に磁気データとして管理されている。昨今のITセキュリティへの意識の高まりを受けて、ファイルのコピーやネットワーク経由でのダウンロードなどから情報が流出するのを防ぐ仕組みは、すでに多くの企業で構築が進んでいる。ところがその実情を見てみると、情報漏えいの多くは、紙に印刷された情報の紛失や置忘れから発生しているのだ。「印刷指示をしたのにプリンターの出力受けにない」とか、「誰が印刷したのかわからない文書が置きっ放しにされている」といったことが、日常的な光景になっている企業も少なくないだろう。「ひとたび電子データが紙になってしまうと、紛失や置忘れのリスクはもはや管理できなくなる。情報漏えい防止の第一歩として、印刷の内容を記録し、管理する必要がある」と指摘する、日本テクノ・ラボ株式会社 松村泳成社長の発想は、時代の要請とまさに合致していた。今回紹介する「SPS」は、従来からの同社の事業分野である印刷関連技術と情報セキュリティソリューションの2つが融合して誕生したソリューションだ。ハードウェアの制御という分野に特化してきた同社の専門性が活かされた「紙による情報漏えい」対策の決定版である。

印刷管理の第一歩は印刷された文書内容の記録

SPSの最大の特徴は、印刷内容の記録とICカードによる印刷許可を組み合わせて、「実際に誰が何を出力したのか」をリアルタイムで記録できることだ。設置されるSPS管理サーバーは、ユーザーから見るとファイルサーバーのようにしか見えないが、管理者からは、誰が、どのような内容の文書を印刷したのかを全て把握でき、必要に応じて制限をかけたり警告を発することができる。2005年の個人情報保護法の施行により、個人情報を流出させた企業は、所轄官庁に対して「いつ、何件の個人情報が漏えいしたのか」を文書にして届け出る必要がある。「いつ、誰が、どのファイルを印刷したかだけではなく、具体的に印刷された内容に何件の個人情報が含まれていたのかまで記録する必要があります」(ドキュメントソリューション営業部 部長川辺基行氏)。このように、内部統制実現を目的とした印刷管理ソリューションへのニーズは大手企業を中心に急速に高まっており、同社では現在、大手金融機関や製造業などを中心に、500台以上のSPSサーバーの商談が進行中である。

一元管理実現の基盤としてアイエニウェアのDBを採用

大規模企業に対してこうしたソリューションを提供するにあたって避けて通れないのが、社員管理システムとの連携や、複数の異なるフロアや事業所を一元管理するネットワーク対応である。また、遠隔地のデータベースサーバーとの同期ができる仕組みも必要だ。そのためのデータベースエンジンとしてNTLが採用したのが、アイエニウェアのSQL Anywhereだった。「遠隔地とのデータの同期や、人事異動に伴う人の移動に対応する上でも、データベースエンジンは欠かせません。フリーのデータベースでもシステムは動かせましたが、サポートや信頼性など、本当の意味でのコストパフォーマンスを考えて、アイエニウェア製品の採用を決めました」(技術本部開発部部長代理 中山和彦氏)。採用の決め手となったのは、コストと自由度の高さの2つだ。「他社製品に比べると独自仕様に制限される部分が少なく、従来フリーのデータベースエンジンの上で構築してきたシステムの移行が容易でした」(開発部 小長谷岳人氏)。また、動作が軽いこともプリンターを制御するシステムのプラットフォームとしては重要な要件であり、この点でもアイエニウェアの製品を高く評価している。

自社で証明した副次効果印刷コストを20%削減

NTLでは自社でもSPSを導入した印刷管理を行っている。「副次的な効果ですが、SPSの導入により、社員が余分な印刷をしなくなり、印刷コストが大幅に削減できました」(松村氏)。出力指示をかけたことを忘れたり、他人が間違えて印刷物を持ち去ってしまい、やむなく再出力する―日常よく起こりがちだが、SPSではユーザーが実際にプリンターのところまで出向き、ICカードなどの認証デバイスを使ってユーザー認証をして、はじめて出力を開始するので、無駄な印刷が発生しない。また、一般的なトナー残量による総量管理ではなく、リアルタイムで誰が、何を、何枚出力したのかがわかるので、部門やプロジェクトごとの印刷コスト管理も可能になった。ユーザーごと、部門ごとに印刷上限枚数を設定することも可能だ。同社では、導入前後を比較すると、全体で20%もの印刷コスト削減効果があったという。「特に金融機関では、内部統制強化で、紙で出力すべき帳票類の数は増えており、大手では年間1億円以上を印刷コストに費やしていると言います。そうした企業で20%の印刷コスト削減ができれば、システム導入費用は数年で回収できます」(川辺氏)。NTLでは、ICカードを利用して、イントラネット内なら場所を問わずどこでも印刷できる機能や、印刷内容をログから自然言語で検索し、アラートを発するような機能を、さらなる展開の柱として開発中だ。また、マルチOS・マルチベンダー対応という特徴を活かして、グローバル企業、さらには海外への展開も視野に入れている。「ファイル名だけではなく、印刷内容を検索可能な形で記録に残すということは、情報漏えいを未然に防ぐ抑止力になります」(松村氏)。時代が求める最新の印刷管理ソリューションの基盤を、アイエニウェアが支えている。

既存システムはそのままに暗号化と認証管理を実現

SPSは、暗号化と認証システムを基に、印刷データの送信から出力まで、「いつ、誰が、どこで、何を」印刷したのかを徹底的に管理するソリューションだ。出力はプリンターが物理的にある場所で、ICカードを用いて認証後に印刷するので、印刷物の放置を未然に防ぐことができる。また、認証による出力制限や機器の利用制限、管理ツールによるリアルタイムでのコスト把握などの充実した管理機能が提供されている。
導入にあたっては、既存のアプリケーションの変更は必要なく、また、SPSによって印刷データのレイアウトが崩れることはない。OSはWindowsだけでなく、CADで使用されるUNIX、デザイン関連業務で使用されるMacOSにも対応しており、また出力機器のメーカーも問わない完全なマルチベンダー対応が特徴だ。プロッターにも対応している。


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1989年創業。世界初のカラー複写機用プリン タードライバを発表し、市場の大きな支持を得る。 以後、ハードウェア制御技術を強みに、プリント サーバ、ファイルストレージ、情報セキュリティ、映像解析・セキュリティソリューションの4つの事業 分野を柱にソフトウェア製品を展開している。

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